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8.便益と経済妥当性 |
8-1.便益 |
8-2.経済妥当性 |
8-3.幸福度の計量化 |
8-1.便益 大プロジェクトでは日本でも整備新幹線で費用対効果を検討し裏付けをとっていますが、経済妥当性があるかないかが大きな課題になります。経済合理性は建設に要する費用で将来発生する便益を割るいわゆるビーバイシー(B/C)で議論して、それが1を超えれば経済合理性があり、1を超えないものは経済合理性がないという評価が行われます。 日韓トンネルについては、すでに韓国当局でご検討戴いていると聞いていますが、私どもはその詳細な内容を伺っておりません。B/Cは、建設の費用と将来掛る一定期間の維持管理費で事業者便益であるB1と利用者便益であるB2を割ったものが1を超えるかどうか、要するに元が取れるかどうかを議論すると思います。韓国当局の試算ではこれがどうも十分ではないということで、従って韓国のご出身の方には「日韓トンネルは非常に楽しいプロジェクトだけれども経済合理性はないようですね」とおっしゃる方がいます。 しかし私どもはその意見には与していません。例として青函トンネルの場合は経済合理性で作ったわけではありません。洞爺丸事故による1300人の犠牲者を今後出さないで済むかという安全性確保のために青函トンネルは建設されました。そしてそれは現在十分に役に立っています。 |
8-2.経済妥当性 従って私どもは便益の計算として利用者と事業者の便益だけでなく、国民的な便益、社会的な便益等を加味したものを作らなければならないと考えています。それをDという指数にまとめれば収支採算に大きな意味で寄与すると考えています。Dの内容は、第一にセーフティー&スタビィリティー、すなわち安全で安定した輸送が可能になるということです。事故の発生率や台風等による欠航率といったものを考えてセーフティーエレメントを考えてみました。 次に、一日行動圏が膨らみ行動範囲が拡大することで、いわゆるアクティブエリアが、とりあえずトンネルの両側の皆様は倍増するとみられます。距離が増えると低減はされますが、行動圏の拡大をひとつの指数として係数化し、加えてもいいのではないかと考えるわけです。 最終的に大事なことは、日韓トンネルによって日本と韓国は海と空だけではなく陸でつながる、陸続きになるという代替性と余裕ができることです。これはリダンダンシーと言っていますが、このリダンダンシーが5割増になると見られます。そのことで日本と韓国の経済は弾性的で強靭かつしなやかなものになります。この3要件、安全性・行動圏・代替性(S+A+R)を勘案したDという発展要素を計量化、係数化して加えることで収支採算性が十分に成り立ち、経済妥当性があると考えられます。私どもは日韓トンネルの将来について確信をもって経済妥当性があり、お役に立つトンネルであると考えています。これについては今後さらなる調査研究が必要になってきます。 |
8-3.幸福度の計量化 さらに付言すると、これまでGDPとかGNPというモノとカネで図っていた国力に加え、人間の活動性、将来の幸せを表す「幸福度」を計量化したグロース・ナショナル・ハッピネスG.N.Hが重要ではないかと考えます。持続可能な国力の判定メジャーとしてのHという要素を勘案して私どもは国土づくりを進めなければなりません。 その面からみて日韓トンネルの最大のメリットは、日韓両国が相互に大きな幸福度の増高を期待できるものと私は考えています。その意味で私どもは経済妥当性を計る費用対効果のこれまでの計算のあり方には満足できません。さらにこれを発展的に展開して、このような大プロジェクトの評価手法の確立も併せて研究を続けたいと考えています。これまでの経済合理性に加え、社会的効果等を勘案した評価手法が重要であります。 |
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