●日韓トンネル研究会のTOPページに行く● | ||
|
NPO(特定非営利活動法人)日韓トンネル研究会のWEBサイトです。日韓トンネルに関連する新聞・雑誌・書籍の記事を掲載します。 |
・当会WEBサイトのTOPページ |
・新聞・雑誌・書籍リスト(No.144) |
・原本 ←下記資料の原本はこちら |
【資料名】 李慶鎮:東亜細亜ハイウェイ構想 , 道路と空港 , Vol.1 , PP.17-20 , 1993.6. 東亜細亜ハイウェイ構想 道路と空港 第1巻 第1号(通巻1号) 李慶鎮(前大韓民国建設部道路局長) 1.序 言 日本から韓国を経由して英国まで、空路や海路ではなく、われわれ人類の母体である大地の上を、世界の人々が自分自身の足であるいは文明の利器である自動車で走るようになる。それは夢ではあるが決して夢だけではない。それは将来の地球表面を再編成する世界 の25個の超大型プロジェクトの中のひとつであり、主要な国家に於て、21世紀に備えて検討中の偉大な構想である。 この巨大なプロジェクトの中にはすでに工事中のものもあれば、完了されたものもある。そのひとつがすでに完了したドーバー海底トンネル工事で、英国とフランスの合作企業が両国政府の許可を受けて施行したプロジェクトである。 今日、国際社会は様々な側面で葛藤と紛争が絶えず発生し、今日この瞬間においても世界のどこかで新たに紛争が発生している。その原因は、物質文明が人類社会の精神文化よりはるかに優位を占めているからである。いうならば弱肉強食の動物世界へと後戻りした のではないかという危機感すら感じるようになっている。このような状況のなかで、われわれが追求すべきことは、より高い次元の倫理観と創造性を与える施策の樹立が切実に要求されているということができる。そこで現実的で具体的な施策が何であるかと考える中から「国際ハイウェイ構想」が持ち上がったと言える。 この国際ハイウェイ構想は、1981年11月、ソウルで開催された「第10回科学の統一に関する国際会議(ICUS)」において、同会議を主催した文鮮明氏が提唱したものだ。その後、日本側では1982年に民間の次元で「国際ハイウェイ建設事業団」を設立し、国際ハイウェイを検討してきたが、ここで検討された事項を要約して紹介する。 この国際ハイウェイの建設は様々な効果をもたらすが、結論的には世界の平和を達成するというものだ。この国際ハイウェイを建設するには様々な問題や課題がある。技術的、財政的、政治的、文化的な違いを超えねばならな多くの難題があると言える。この難題を解決することがこの地球の平和をもたらす結果になるのである。 我々人間が共に考え、共に行動し、人類の夢を実現させようとする努力が、我々人類を一つの絆で結ぶことになるという意味に於て、国際ハイウェイは国際平和の夢を成就する結果になるのである。 世界に目をやれば、国際ハイウェイはアメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどの世界各地で実現あるいは計画されている。それがまさに世界平和を追求し豊かなコミュニケーションを追求することであり、経済交流を拡大させることになる。このような大型プロジェクトは結局は偉大な人類史の1章を印すことになのである。ここにまた一つの新しい「ハイウェイ構想」すなわち「東アジアハイウェイ」計画が成立し、このプロジェクトが今世紀最大のプロジェクトになり、このプロジェクトに「韓・日トンネル」の建設が含まれ、東アジアの主要な交通路の役割を果すようになると期待される。 2.東アジアハイウェイ構想 地球表面に最も長い人工の線を引くとすればそれは道路や鉄道になる。道路や鉄道の建設により互いに異なる文化の接触がなされる。接触の方法は時代的な背景より様々な形態があると言える。国土や地域が互いに結ばれて、別の空間特性を造成し今日に到達したのが一般的であった。このような結果の実例を挙げると次のようになる。 ・パン-アメリカン ハイウェイ ・ヨーロッパ ハイウェイ ・アジア ハイウェイ ・アフリカ横断道路など この実例の中でアジアハイウェイ構想について論じることにする。 2-1 東アジア地域の基本課題 韓国、日本、北韓、中国、台湾、モンゴルそして旧ソ連邦の極東および東シベリア地区にかけての広大な東アジア諸国の基本問題および政治的課題としては、第1番目に海洋を媒介とした海洋国家である韓国、日本、台湾をひとつのグループとする資本主義国家と、大陸性の河川交流文化の中国、北韓と旧ソ連邦の共産主義国家間の差で、民族の特性を離れた政治的あるいは双方の価値観の差を挙げることができる。第2番目に各民族の生活の向上を実現するための基本施策として経済振興の活動である。第3番目に相互に欠落している国土の社会的、物理的インフラストラクチャーの拡充、第4に本来の目的である各民族国家間の永遠の平和のための基盤造成になるのである。 以上に述べたことは理論で解決されるものではなく、東アジア諸国民の共通目的であるがために実際的なジョイントプロジェクトを通して相互補完的な協力体制を造成し、信頼と平和の実績を蓄積することによって実現されるものと思われる。 2-2 古典的イデオロギーからの脱皮 民族の規模や生活の貧富に関係なく、それぞれの地域で各国の生活形態を相互間で尊重し合い、維持し、向上させることが人類の平和共存の基本要求であると言える。 しかしながら人は誰でも本能的に安心感や安全な居住環境を得ることを望み、平和に生活したい欲望を持っている。 しかし現実的には戦争が絶え間ないのであるが、これは当事者間の価値観であるとか生活関連要素の意思決定の基準が互いに異なっているからである。したがって我々は自由な生活、人間性の尊重、近隣間との友好関係および平和の構築のためにより柔軟に対応しなければならない。 2-3 東アジア共同体の形成 東洋の文化は西洋文明の影響を受けながら発展してきたと言える。文明は局地的な観点から価値が認定されてきた。 海洋を主体とした統一的な文明を強調するのが絶対的ではなく、これからは大陸を尊重した地域的な文明が活性化される。 一歩進んでこれからは局地性をこえて広域的に相互補完的な産業構造にならねばならない。 結局、経済活動の円滑、長期間の安定した基盤造成のために多国間が互いに信頼できる相互補完システムゾーンとしての経済圏の形成が不可避である。 従って東アジアで韓国、日本、中国、台湾、北韓、シベリアなどに政治的、経済的な相互依存関係が必要になるが、東アジア諸国はイデオロギーとか政治形態などが互いにぶつかりあっているのが実情である。 この問題を解決するためには他国の体系に合わせるのではなく、時代の趨勢と平和の追求によって各国の特性を活用し、この地域の平和共存のための東アジア諸国を連合した東アジア共同体を提唱することになるのである。 東アジア共同体には韓国、日本、中国、台湾、北韓、モンゴルとロシアの7ケ国が含まれるべきである。 2-4 東アジアハイウェイ構想 東アジアハイウェイを計画、施工、供用を開始するには高度な技術と、莫大な費用と長い期間が必要となることは明らかである。そして本計画路線は主に大都市と工業地帯、天然資源の開発によって発展可能な地域など、交通の要衝を経由しなければならない。 したがって本ハイウェイは自動車交通だけではなく、天然ガスおよび原油輸送のパイプライン、高速鉄道と通信施設などの附属諸施設が本計画に含まれなければならない。 以上の諸条件を考慮して「東アジアハイウェイの路線」を大まかに考えてみると次のようになる。 日本の東京を起点とすると北九州の南端、壱岐島を経由し対馬までは橋梁あるいはトンネルで結び、対馬から大韓海峡を水中あるいは海底トンネルで通過し、巨済島を経由し馬山付近に上陸することになる。ここからは韓国内の計画としてソウルに向かい、ソウルから平壌を経てハバロフスク、ウラジオストクへと通じる。 また別の路線は平壌から中国の瀋陽に南下し大連へ、北上してハルピンで1路線は平壌~ウラジオストク路線と合流し、1路線はチタを経てイルク-ツクに向かう。瀋陽で別の1路線は西に向かい北京に結ばれる。 北京から南東方向に青島、南京を経て上海まで結び、南京から武漢まで、そしてまた別の1路線は北京から南西方向に西安を経て武漢、広東、香港まで、そしてベトナムのハノイまで結ばれる。また北京から北西方向にウラルバトル経由してイルクツクに結ばれる。 西安からはシルクロードに結び、そのシルクロードを拡張整備する。この路線がヨーロッパ諸国へと続くのである。一方、日本の新潟からウラジオストクまで大型の定期フェリーを就航させ交通と輸送の円滑化を図る。これらの都市は地域の拠点としてよりは国際都市として政治、経済、文化の中心地として都市と地域の構造を一層整備することになる。 3.結 言 世界文明の流れは海洋文明から大陸文明へ移転し、類似した文明から地域の固有文明へと変化しつつある。 このような過程で大国以外の各国の国際的役割の重要性が増加し、東アジアにおける地域主義に立脚した平和の構築が必要になった。 これに対して、古典的な理論やイデオロギーでは、いかなる課題や問題をも解決できないことは明らかである。それゆえ現在では実践的、総合的、体系的に有効なシステムの樹立が期待される。 それには社会相互間の共通の価値と認識が蓄積された体系を構想し創造することが課題となる。 しかし東アジア共同体はまだ自然状態に依存する計画経済が主流であり、その成果面に於てまだ流動的であり根本的な不安要因が除去されたとは言えない。 これを解決するためには自然環境の安定性を構築し、工業とか製造業を発展させる勤労者の生活を改善・向上させることが必要である。 生活の向上は、住居や医療サービスなどの生活の安全性の確保、食料や物品など生活必需品の供給と、地域的なエネルギーの確保はもちろん、労働による補償、交通・通信施設など、人間生活に必要な諸要素を良好な状態に維持することである。 しかし国家によって資金不足、技術不足など、より根本的で構造的な差が多く、これを解決する事が大きな課題となるのである。一方では異質な経済構造がむしろ制約の要因として作用するとも言える。 21世紀の新文明の創造は理論と実践を通じ、文明創造の技術を次世代に移転することを我々は希望している。その手段として重要な施策を成功裡に達成するためには、より具体的に樹立されている基本的事業が共同体国家間に樹立されなければならない。 東アジア共同体が構想すべき帯状基幹構造体として「東アジアハイウェイ」建設を挙げることができるのである。 訳責:特定非営利活動法人 日韓トンネル研究会 事務局
|
ページのTOPに戻る |